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「フルタイムにこだわらない」パート改革で業績をあげた会社がある

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第3回

働き方改革が叫ばれて久しい。ここにひとつの成功例がある。株式会社武蔵野は、数年前からパート社員の雇用環境改善に取り組み、過去最高売上、最高益を更新した。その「儲かる」仕組みとは? 『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)が話題を呼ぶ代表取締役社長・小山昇氏に聞く。

パートさんの一番の仕事は子育て

 

――パート社員の戦力化がなぜ今重要なのでしょうか。

 第1回で話したように、これからは労働人口が減少していくのは事実ですから、正社員の雇用で足りないところは、パートやアルバイトを起用するのが得策です。

 パートの雇用を考えるとき、多くの社長は、「フルタイムで働けるパートさん、アルバイトさんが欲しい」と考えますが、私はフルタイムにこだわっていません。

 なぜなら、「子育てが終わるまでは家庭(子ども)を最優先に考える」のが私の基本方針だからです。

 子どもが学校から家に帰ってきたときに、「○○ちゃんおかえり」と迎えてあげるのが母親の理想だと私は思っています。

 パートの雇用に関して、武蔵野が「時給を高くして、短時間働いていただく」ようにしているのは、「高い時給で短く働いてもらう」ようにすると、子育てに使える時間が増えるからです。

「短い時間でも働ける職場環境」「家族を犠牲にしなくていい職場環境」をつくれば、パートさんも働きやすくなります。

 先日も、社内結婚をして子どもができ、「これからは、パートさんとして稼ぎたい」と言う従業員が何名かいたので、彼女たちに私はこう言いました。

「もっと稼ぎたい、という考えは間違いです。あなたたちのいちばんの仕事は、子育て。2番は子育て。3、4がなくて、やっぱり子育て。仕事よりも子育てが最優先です。だから、子どもが熱を出したら、仕事をほったらかしてすぐに帰りなさい。勝手に休んでもいい。稼ぐのは旦那にまかせて、あなたたちは家族優先で考えほしい」と。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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